はじめに「ブランディング、やったほうがいいよね」と言われるたびに、なんとなくモヤっとした気持ちになったことはありませんか?「ロゴをきれいにすること?」「SNSで発信すること?」「なんか高そうで、大企業がやるもの?」実は、僕もかつてはそう思っていました。「ブランディング」という言葉、なんとなくふわっとしていて、具体的に何をすればいいのかよく分からない。でも気づいたら「やったほうがいい」と言い続けている人になっていました(笑)。今回は、第一弾でお伝えした「ノックデザインって、どんな会社なの?」に続いて、僕たちが日々のクライアントワークの中で一番大切にしているテーマ、ブランディングについてお話しします。「難しそう」とか「うちみたいな規模には関係ない」と思っている方にこそ、読んでほしい内容です。 実際のクライアント様のリアルなエピソードも交えながらお伝えしていくので、少し長くなるかもしれませんが、気になるところだけでもつまみ食いしてもらえたら嬉しいです。ブランディングって、そもそもなに?まず、よくある誤解から整理させてください。ブランディングは、「ロゴを作ること」でも、「おしゃれなWebサイトを作ること」でも、「SNSでバズること」でもありません。じゃあ何か?「あなたの会社が、誰かの頭の中に占める場所」これがブランドです。たとえば、「コーヒーといえば?」と聞いたとき、誰かの頭にぱっと浮かぶ名前があるはずです。それはロゴのせいじゃない。その会社が積み重ねてきた体験、印象、感情の総体です。もっと身近な例で言うと、近所に同じような飲食店が2軒あったとして、なぜか片方にしか行かないってこと、ありますよね。メニューも値段も似ているのに。その「なぜか」の部分が、ブランドです。ブランディングとは、その「頭の中の場所」を意図的に、丁寧に、積み重ねていく行為のことを言います。一朝一夕には育たないけれど、ちゃんと育てれば、何よりも強い資産になります。「いい商品なのに伝わらない」の正体「うちは品質に自信がある。でも、なぜか選ばれない」こういう悩みを持つ経営者の方、本当に多いんです。その原因の多くは、商品やサービスの問題じゃなくて、「伝わり方」の問題です。実際に、弊社が支援させていただいた株式会社せせらぎ(介護事業)さんも、最初はまさにそういう状態でした。月に30〜40万円かけて求人広告を出しても、応募がほとんどゼロ。多いときは月200万円を採用に投じても、思うような成果が出ない日々が続いていた。会社の中身はすごくいいのに、その魅力が外に届いていなかったんです。そこで僕たちがまず提案したのは、「採用費を増やすこと」じゃなくて、「会社の雰囲気を知ってもらうこと」でした。TikTokを始め、コーポレートサイト、採用サイト、施設案内パンフレット、施設看板デザインまで、会社のすべての「顔」を一貫したコンセプトで整えていく。そういう仕組みづくりに約1年かけて取り組みました。その結果、月間60万円のコストで年間95名採用を実現。採用費は3分の1以下に削減されました。水沼社長はこう言ってくださいました。「うちの会社に合わせてゼロから柔軟に戦略を立ててくれた。しかも、その戦略がちゃんと成果につながっているのが、何より大きいです」単に数を集めたのではなく、「会社の理念に共感して応募してくれる人」が増えた。それが最大の変化だったと感じています。どれだけいいものを持っていても、受け取る側の頭の中に「この会社はこういう存在だ」という明確なイメージがなければ、選択肢にすら入れてもらえません。人は、知らないものを信頼しないし、信頼できないものを選ばない。だから「伝わらない」を解決するには、まず「どういう存在として認識されたいか」を自分たちで決めること。それがブランディングの出発点です。株式会社せせらぎのインタビュー全文はこちらからブランドは「見た目」じゃなく「記憶」と「感情」でできている人が「この会社、好きだな」と感じるとき、そこには必ず感情の記憶があります。初めてホームページを見たときの印象、問い合わせへの返信のスピードと文章のトーン、担当者との初回打ち合わせの空気感、デザインの統一感など……。そういった接点のひとつひとつが、積み重なってブランドになる。大阪で足場工事を手がける株式会社タイキ建設の藤原社長は、ホームページを作ったことで想定外の変化があったと話してくれました。「取引先の方からも『会社のホームページいいね』って言ってもらえたり、『うちも今度ホームページ作るとき相談させて』って言われたり。採用に応募してくれる方からも『ホームページがしっかり作られていたので信頼できた』って言ってもらえたりと。ホームページって、ただの名刺代わりじゃなくて、ちゃんと"会社の姿勢"を映すものやなって、改めて実感しました」そうなんです。ホームページのデザインや文章が変わったわけじゃなく、会社の姿勢や想いがちゃんと届くようになったことで、取引先の見え方まで変わった。これがブランドの力です。だからブランディングは、ロゴや色を決めるだけでは終わりません。すべての接点に「らしさ」が宿っている状態を作っていくことが、本当の意味でのブランド構築です。逆に、見た目だけ整えても、実際の対応がバラバラだったり、発信する言葉が「らしくなかったり」すると、人の記憶の中でブランドはちぐはぐになっていく。「なんか惜しい会社」という印象は、実はここから生まれていることが多いんです。タイキ建設のインタビュー全文はこちらからよくあるブランディングの失敗パターンここで少し、現場でよく見る失敗パターンもお伝えしておきます。パターン①「見た目だけ刷新した」「リニューアルしたのに問い合わせが変わらない」というケース。原因のほとんどは、見た目は変わったけれど「何者なのか」「誰に届けたいのか」が変わっていないことです。デザインは手段であって、目的ではない。伝えたいことが変わらなければ、見た目を変えても印象は変わりません。パターン②「競合に合わせすぎた」「業界的にこういうデザインが多いから」「他社もこういう打ち出し方をしているから」と、業界の平均値に合わせてしまうケース。これをやると、比較されたときに「どこも同じに見える」という状態になり、最終的には価格勝負になっていきます。ブランドの役割は、比較から抜け出すことでもあります。パターン③「バラバラな会社に頼んだ」SNSは別の会社、ホームページは別の会社、パンフレットはまた別の会社……。それぞれはプロが作っているのに、なぜか全体として「伝わる力」が弱い。これまでの弊社のクライアント様が口を揃えておっしゃっていたことがあります。「SNSだけ、ホームページだけ。どれかひとつだけやっても効果は限定的。大事なのは、それぞれをちゃんと線でつなぐこと」。そして、それをバラバラに違う会社へ頼むのではなく、企画から設計・運用までトータルで見てくれるパートナーと一緒に進めることが大切だと。パターン④「一度作って終わりにした」「3年前にロゴを作り直した」「そのときホームページも作った」でも、会社は進化しているのにブランドが止まっている。タイキ建設の藤原社長は「今は採用向けに振った構成だけど、今後は取引先向けの見せ方も入れたい。会社が成長するステージに合わせて、見せ方も進化させていきたい」とおっしゃっていました。ブランドは、定期的に見直して、今の「らしさ」に更新していく必要があります。「らしさ」を言語化することが、最初の一歩では、具体的にどこから始めればいいか。僕たちが必ず最初にやることは、「言語化」です。この会社は、誰のために存在しているのか何を解決しようとしているのかどんな価値観で仕事をしているのか競合と比べたとき、何が違うのか3年後、どんな存在になっていたいのかこれを、「当たり前のこと」として流さずに、ちゃんと言葉にしていく作業です。有限会社長谷川興業の長谷川社長は、ヒアリングの過程でこんな言葉をくれました。「しんどい仕事やけど、やりがいがある。やっただけ稼げる。そういうリアルで良い部分をちゃんと伝えたい。それをうまく汲み取って言葉にしてくれたのがありがたかったです」「自分たちじゃ気づかんような魅力も、言葉にして引き出してもらえた」これは、ほとんどすべてのクライアントさんが言ってくれることです。頭の中にはある。でも言葉になっていない。外に出していない。それはチームにも伝わっていないし、もちろんお客さんにも伝わっていない状態です。言語化することで、はじめてブランドは「外に届く」ものになります。ちなみに、長谷川興業さんがホームページを整えた後、こんなことがありました。淡路島で船に乗って働いていた22歳の若者が、船の上でTikTokを見て、そのままホームページを見て、「地元を離れて新しい環境で頑張りたい」と大阪までわざわざ面接に来てくれたんです。その後大阪に住むことも決め実際に働いてくれています。この話を聞いたとき、発信することの力って本当にすごいなと、改めて感じました。デザインは、言語化された「らしさ」を視覚に翻訳することここで初めて、デザインの出番が来ます。僕たちがよく言うのは、「デザインは、言葉の次にくるもの」ということ。「この会社はこういう存在で、こういう価値観を持っていて、こんな人に届けたい」という言語化があってはじめて、それを視覚的に表現するデザインに意味が生まれます。株式会社One Linkの吉村さんは、ホームページを作るにあたってこんな思いを持っていました。 「ただオシャレなだけじゃなくて、人や考え方が伝わるサイトにしたいという想いがありました。特に意識したのは、社員の顔が見えることと、会社の理念や想いがしっかり伝わること。そういう"中身"の部分って、他社との違いを出すうえでもすごく大事だと思うんですよね」吉村さんは最初の打ち合わせから「見た目より中身」とおっしゃっていて、その言葉がすごく印象的でした。結果、リニューアル後に採用面接に来る人から「雰囲気良さそう」「楽しそう」という声が増え、ミスマッチも大きく減ったとおっしゃっていました。逆に、言語化なしにデザインだけ先行させると、「なんかおしゃれになったけど、前と何が変わったの?」という状態になりがちです。見た目は変わったのに、何かが釈然としない。そういう会社、見たことがある方も多いんじゃないでしょうか。ノックデザインがデザイン会社なのに「まずは話しましょう」と言うのは、そういう理由です。見た目の前に、「誰に何を届けたいか」を一緒に掘り起こしたい。そこをすっ飛ばして、きれいなアウトプットだけ作っても、意味がないと思っているからです。経営者が「ブランド」を意識する5つのメリットここで少し、経営目線の話をします。ブランドが育つと、何が変わるのか。① 採用が変わります。この会社、なんかいいな」と感じた人が来るようになる。スキルよりも、会社の雰囲気や想いに共鳴して集まってくる仲間が増えます。せせらぎの水沼社長が話してくれたように、「会社の理念に共感した人たちを直接雇用できた」ことの価値は、数字だけでは測れません。「派遣だとどこでもいい人も来るけど、ちゃんと発信して選ばれると、この会社で働きたいっていう想いを持った人が来てくれる。その違いは本当に大きい」とおっしゃっていました。② 営業・取引先への信頼感も変わります。タイキ建設のように、採用強化を目的に作ったホームページが、取引先への信頼感を高めるという予想外の効果をもたらすこともあります。「作って本当によかった」という声の多くは、想定していなかった場所から返ってきます。③ 「選ばれる理由」が明確になります。One Linkの吉村さんがおっしゃっていたように、求人広告にお金をかける前に「ホームページという会社の顔」を整えることで、応募者の質と量が変わります。広告費の投資対効果が、根本から変わるんです。④ 社内の一体感が生まれます。「うちってこういう会社だよね」という共通言語が生まれると、判断基準が揃います。新しい施策を打つときも「これ、うちらしい?」という問いが自然と出てくるようになります。長谷川興業さんのように、「ブレずに進めた気がします」という感覚は、まさにそこから生まれています。⑤ SNSが「信頼の蓄積装置」になります。ノックデザインのSNS支援を担う安田が常に言っているのは「バズるより、伝わる」という言葉です。TikTokで1000万回以上再生され採用も大きく前進した長谷川興業さんや、TikTok経由で月500万円以上の売上を達成したアパレルブランドのBrianzaさんの共通点は、「熱量がちゃんと動画に乗っていた」こと。バズを目的にするのではなく、届けたい人に誠実に届け続けた結果として、数字がついてきた。それがブランドとして積み重なっていくんです。「小さい会社だから」は関係ない「うちみたいな規模でブランディングなんて、大げさじゃない?」この声、すごくよく聞きます。でも僕は、それは完全に逆だと思っています。むしろ、小さい会社だからこそ、ブランドが必要なんです。大企業は、認知度と実績とリソースで戦えます。でも、中小企業がそこで張り合おうとしても勝ち目はない。だから、「この会社じゃないといけない理由」を作ることが、唯一の戦い方だと僕は考えています。長谷川興業の長谷川社長は、こんなことをおっしゃっていました。「うちみたいな規模の会社って、ネームバリューで選ばれるわけじゃないから、どんな会社か、どんな人がいるのかっていうところが見えないと、選ばれにくいんですよね」だからこそ、「見せる」「伝える」ことに真剣に向き合うことが、小さな会社の最大の武器になる。ブランドは、お金や規模ではなく、積み重ねた誠実さと一貫性でできています。小さくても、誠実に、一貫していれば、ブランドは育つ。これは本当のことです。ノックデザインが考えるブランディングの進め方最後に、僕たちがクライアントと一緒に取り組むとき、どんな流れで進めているかを少しだけ。ステップ1:「らしさ」を掘り起こす対話ヒアリングというより、「一緒に言語化する場」を設けます。何を大事にしているか、どんな未来を目指しているか、なぜこの仕事をしているか。じっくり話しながら、言葉を見つけていきます。例えば、「会社を立ち上げた想いや背景を丁寧に聞いてもらって、文章にも起こしてもらった。ほぼ何もしてない(笑)」とおっしゃる方も中にはいて、そのくらい僕たちが汲み取りにいく姿勢で向き合っています。ステップ2:ブランドの骨格をつくるミッション・ビジョン・バリュー、ターゲット像、競合との違い、伝えたいメッセージ。これを整理して「ブランドの地図」を作ります。ここが固まると、その後の判断がすべて早くなります。「これはうちらしいか?」という問いに、ちゃんと答えられるようになるから。ステップ3:すべての接点を「らしさ」で統一するWebサイト、SNS、名刺、パンフレット……それぞれの接点に「らしさ」が宿るよう、デザインと言葉を整えていきます。一度に全部じゃなくていい。せせらぎさんのように、約1年かけて少しずつ整えていくスタイルも、むしろ着実に成果が積み上がります。大切なのは一貫性です。ステップ4:SNSとホームページを「線でつなぐ」SNSだけ、ホームページだけでは効果は限定的です。「SNSを見て興味を持ってもらい、ホームページで信頼してもらい、問い合わせや応募につなげる」という流れを、ひとつの一貫した設計として作ることが大切です。別々の会社に頼むのではなく、トータルで見てくれるパートナーと進める理由は、ここにあります。ステップ5:伴走しながら育てるブランドは、一度作って終わりじゃありません。使いながら、発信しながら、磨いていくもの。お客さんの反応を見て、チームの感覚を聞いて、少しずつアップデートしていく。長谷川興業さんとは2年以上、せせらぎさんとも長期にわたって伴走しています。その積み重ねこそが、本物のブランドを育てていくと信じています。まとめブランディングとは、「頭の中の場所を取りに行く活動」です。見た目を整えることではなく、誰かの記憶と感情の中に「この会社って、こういう存在だな」という印象を育てていくこと。今回ご紹介したせせらぎさん、One Linkさん、タイキ建設さん、長谷川興業さん。業種も規模もそれぞれ違いますが、みなさんに共通しているのは、「ちゃんと伝えること」に本気で向き合ったことです。その結果として、採用が変わり、取引先からの信頼が変わり、会社が変わっていった。大事なのは、完璧を目指すことじゃなくて、今日より少しだけ「伝わる状態」に近づけること。一歩ずつ積み重ねれば、半年後・1年後には確実に変わっています。ブランドは、時間と誠実さが味方してくれるものです。「うちもブランディング、考えてみたいな」と思ったら、まずは気軽に話しかけてみてください。答えは、すでにあなたの中にあることが多いんです。それを一緒に見つけに行くのが、僕たちの仕事だと思っています。最後まで読んでいただきありがとうございます。 お問い合わせはこちらからお気軽にしてください。弊社について詳しく知りたい方は「ノックデザイン会社案内」資料ダウンロードからお願いします。