和風なデザインは、伝統的な日本の文化を取り入れたスタイルで、旅館や和食店、伝統工芸品などのホームページに適しています。余白の使い方や配色、和柄の活用で日本らしいイメージを演出できます。本記事では、そんな「和風」にフォーカスしてデザインの特徴や事例を紹介して行きます。和風なホームページを作ろうと考えている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。和風なデザインの基本とは?まずは和風なデザインの特徴について解説して行きます。まず和風とは、どんな意味を持つ言葉なのかについてですが、一言でいうと「日本独自の特色や味わいを感じる言葉」と言われています。これをデザインに取り入れるために、具体的ないくつかの特徴に分けて説明して行きます。レイアウト(余白・間の使い方/左右非対称)和風なデザインでは、余白(間)を活かしましょう。建築や庭園などのデザインにおいて「間(ま)」=余白の美しさを大切にしていました。ホームページのレイアウトでもこの考えを取り入れることで、洗練された和風の雰囲気を作り出すことができます。情報量の多いコンテンツ:一つのカテゴリにまとめる等の工夫をして、余白(間)を重んじたスッキリとしたレイアウトにする。セクションごとのゆとり:各コンテンツを十分な余白で区切り、視認性を向上させる。左右非対称のバランス:昔ながらの日本庭園の石や掛け軸、棚のつくりが左右非対称なように、「揃っていない」美しさを演出。配色(和の伝統色/アクセントカラーの使い方)和風なデザインでは、配色も重要です。基本的には、自然由来の落ち着いた色合いが好まれる傾向にあります。中には日本特有の色の呼び方もあり、赤色は鳥居や漆器に使われているような「朱色(しゅいろ)」、青色は着物や染め物に使われる深みがかった「藍色(あいいろ)」など、原色と比べて少し色味にも違いがあります。強く主張してしまう原色を使用するよりも、くすみがかった落ち着いた色を使用する方が、和風なデザインの雰囲気を出しやすいです。また、朱色や金色など、少し主張の強い色は、アクセントカラーとしても使うことができ、デザインをぐっと引き締めることができます。模様・テクスチャ(和柄/和紙・水墨の活用)和風なデザインでは、「和柄」という単語が存在するように、柄にも特徴があります。画像右上より、名前の通り麻の葉の柄を使用しており、基本的に三角形を組み合わせた正六角形の幾何学的な形をしている「麻の葉」、日本の伝統的な象徴である千鳥をモチーフにし、幸運や吉兆を表すものとされている「千鳥格子」、2色の違う正方形を交互に並べて構成される文様で、東京オリンピックのエンブレムにも使用された「市松」、半円を三重に連続させて波を表現する「青海波」など、上の画像は一例で、他にも多数の和柄があり、それぞれに意味があります。着物などに使用されており、いずれも伝統的な柄として親しまれてきたものなので、これらの柄が使われていると、ユーザーは一目で和風なデザインと認識しやすくなります。また、こういった和柄はテクスチャとしても使用が可能です。デザインの作成中に、「なんだか物足りない・シンプルすぎる」と感じた場合は、和柄等をテクスチャとして背景や画面の一部に使用することで、一気に和風のデザインに近づくことができます。「柄では少し目立ちすぎる・もっと控えめに表現したい」という場合は、和紙や水墨画のような水彩のにじんだ表現を取り入れることで、自然と和風の雰囲気を引き出すことができます。フォント(明朝体・筆文字/縦書きの活用)和風なデザインではフォントも重要です。和風なデザインは、落ち着いた印象を持つため、上品な「明朝体」や書道で使われる「行書・楷書(筆で書いたようなフォント)」が適しています。また、タイトルやファーストビューなどの目立たせたい部分では、日本で昔から使われている縦書きにすることもおすすめです。先ほど配色で紹介した朱色と藍色をベースに、フォントだけを変えたものを2種類用意しました。左のゴシック体で作成されたものよりも、右の明朝体・楷書体で作成されたものの方が、和風を感じられるかと思います。同じ色と縦書きでも、ゴシック体はカジュアルな印象なのに対して、明朝体や筆文字を使うことで線の強弱が出て、洗練された印象になります。また、フォントとは少し違いますが、カタカナや英語を避け、昔から使われている日本語を使うことも和風なデザインを表現する要素になります。和風なデザインが活きるホームページの種類和風なデザインは、日本の伝統や文化に関係のある業種に適しており、ブランドの価値を高める役割があります。このセクションでは、どういった場面で使うのが適しているのかを具体的に紹介して行きます。1. 旅館・ホテル隅々まで行き渡ったサービスを提供し、顧客の満足感を満たす旅館やホテルは、洗練された印象のある和風なデザインにピッタリです。特に、和室のある旅館や、木のぬくもりを活かしたつくりが特徴のホテル等では、その雰囲気をデザインにも施すことで、宿のイメージがつきやすく、ブランドの価値を高めます。また、和風なデザインは落ち着きのあるもが多いので、「くつろげる」「ゆっくりできる」という印象も与えられます。2. 伝統工芸・和雑貨伝統工芸や昔からある和雑貨を販売・製作している店は、日本の代々引き継がれた技術や歴史を感じられる和風なデザインが、洗練された印象と共に与えることができるため相応しいです。伝統工芸品や和雑貨は、職人技とも呼ばれる繊細な技術が必要になってくる商品や、手作業でつくられる商品が多いため、洗練された印象の和風なデザインが活きます。一つ一つ丁寧につくられている「特別感」や「高級感」も表すことができます。3.和食や和菓子日本の伝統や文化に関係のある和風なデザインにおいて、昔から日本人に親しまれてきた和食や和菓子はもちろんピッタリです。伝統工芸品と似ていますが、和食や和菓子にも職人技が必要な場面が多く、洗練された印象を与えられる和風なデザインと合います。老舗の雰囲気や伝統の味を和風なデザインを用いることで、ユーザーの信頼感を得られます。4. 和モダンデザイン昔ながらの伝統的な印象を与える和風なデザインですが、近年、現代的なデザインであるモダンテイストと掛け合わせた「和モダン」というジャンルがあります。上記で挙げた例ではもちろん、他にもインテリアや家の内装に使われていたり、「和モダン」をコンセプトとしたカフェなども出来てきています。現代的になっていく世の中のデザインに、昔ながらの「和」の要素を取り入れることで、あたたかみや安心感につながります。伝統的で洗練された美しさを残しつつ、現代的な要素も取り入れた「新しい価値」として成り立ったデザインである「和モダン」は、今後も様々な場面で目にかかることが増えていくでしょう。和風なデザインのホームページの事例10選上記であげたような特徴や場面で、和風なデザインが実際に施されているホームページの事例を紹介して行きます。1. 河馬印本舗https://kabajirushi-honpo.jp/河馬印本舗は、90年を超える歴史を持つ老舗の傘メーカーです。テキストが全て縦書きの横スクロールで作成されている珍しいホームページで、ブランドのストーリーから始まり、歴史を感じさせます。前半は文字量の多いコンテンツですが、余白が充分に取られていることで洗練された印象です。また、傘に使用している落ち着いた色味をページでも使用しており、商品の魅力がグッと伝わるページです。2. 旬ブランドサイト-貝印https://www.kai-group.com/products/brand/shun/刃物で有名な貝印の旬ブランドサイトです。刃物と言う繊細な商品ですが、ファーストビューには大きく写真が使われており、背景はざらつきのあるテクスチャと花のモチーフで和風かつ洗練された印象です。メニューバーの表示の仕方もこだわられており、ふわっとフェードイン・アウトする使用にすることで、鋭利な刃物のイメージに柔らかさをプラスしています。3.八坂神社https://www.yasaka-jinja.or.jp/八坂神社は、平安時代からある京都の神社で、厄除け・縁結び、美容など様々なことにご利益のある神社です。神社自体の色でもある朱色をアクセントカラーに使用しており、セクションごとにテクスチャや和柄を用いています。写真もたくさん使用されていますが、余白が充分に取られていることでスッキリとした印象です。ファーストビューでは大きく映像が用いられており、八坂神社の長い歴史が持つ荘厳さを感じさせます。4. 城崎温泉 深山https://shinzan-kinosaki.jp/城崎温泉深山は、兵庫県の城崎温泉に位置する宿泊施設です。見出しにもあるように、「和モダン」を掲げており、現代の快適さと昔ながらの和の魅力を融合させたコンセプトを、ホームページにも落とし込んでいます。全体的にグレー味のあるくすみカラーを使用し、落ち着いた印象を与え、セクションの見出しに明朝体を使用することで、洗練された雰囲気を感じられます。旅館としてのブランド価値の上がる高級感にもつながるデザインです。5. KOUSANJI TEMPLE 鳥獣戯画 collaborated with niko and...https://www.dot-st.com/nikoand/cp/202212product_zakka京都にある高山寺に所蔵されている鳥獣戯画と、アパレルや雑貨を取り扱うniko and...がコラボした商品ページです。現代の雑貨に歴史的なモチーフを使う斬新な企画で、商品のラインナップは巻物のようなあしらいで紹介されており、背景には鳥獣戯画に出てくるキャラクターが使われています。フォントも筆で書いた字体が使われており、配色も落ち着いた色味を用いることで、現代のポップで可愛らしい要素が、昔の和の要素とうまく融合して和風なデザインになっている面白い事例です。6.丸亀製麺https://jp.marugame.com/index.html丸亀製麺は、日本発の讃岐うどん専門のチェーン店で、全国に展開しています。白を基調としたシンプルなデザインですが、フォントは全て明朝体で構成されており、詳細へ飛ぶと焦茶色ベースにところどころテクスチャがあしらわれた落ち着いた和の印象を受けます。目立たせたい商品はもちろん、企業として創業から大切にしてきた理念に大きくコンテンツ幅を取ることで、企業としての歴史も垣間見えます。画面左には縦書きでサイトのメニューがあり、英語にも対応していることで日本の文化に興味を持つ外国人ユーザーへも親切なデザインです。7. 養老ミートhttps://www.hidagyu-yoromeat-honten.com/岐阜県に本社を構える食肉加工・卸売業者です。イラストが使われている印象的なファーストビューです。水彩のような滲みの表現が使われており、和紙に描いたかのような印象を受けます。人物も行司の装いで、日本の伝統的なモチーフが使われています。色味は黄土系の落ち着いた色合いで、フォントも明朝体を使用しており、洗練された印象を与えます。高級な肉の品質に説得力を持たせるデザインです。8. 花嫁日和https://www.wasoumaedori.com/costume/花嫁日和は、和装前撮り・フォトウェディング専門のサービスです。セクションごとに深く落ち着いた色味で構成されており、ステッチされたような花のモチーフが、着物の重厚感と洗練された雰囲気を表現されています。着物が鮮やかなものが多いので、濃い色を使うことで着物が強調されています。要所要所で使われている高品質な写真と、白の明朝体が高級感を感じられるデザインでターゲットである結婚式で着物を着ることを考えているカップルが安心して任せられる構成です。9.鹿猿狐ビルヂングhttps://www.nakagawa-masashichi.jp/shop/pages/shikasarukitsune.aspx鹿猿狐ビルヂングは、奈良県にオープンした複合商業施設です。彩度の低いベージュカラーをベースに、コンテンツ同士の余白が充分に取られた全体的にスッキリした構成です。使われている画像には薄くフィルターがかけられており、マップの図の彩度も低く、細い線でつくられています。商業施設というエンターテイメント要素の高い施設ですが、全体的に上記のような落ち着いたデザインが施されており、洗練された旅館やホテル等のような印象を受けます。瓦を使った外観や施設のコンセプトにぴったりな和風デザインです。10.香老舗 薫玉堂https://www.kungyokudo.co.jp/香老舗 薫玉堂は、京都で創業した、日本最古の御香調進所として知られています。全体的に余白が印象的な構成です。大きい画像と明朝体のテキストデータで等間隔の余白を保っており、白を基調としたページにシンプルな構成なので、香りという繊細なテーマが活かされています。日本最古の御香調進所という伝統的なイメージも、余分な要素を減らした必要最低限の情報量で洗練された印象を受けることから感じられ、歴史のページでは調香帳などの写真を使われていることで説得力を持ちます。まとめ|和風なデザインの魅力と活用ポイント昨今、様々なデザインを施されたホームページが増え、デザインテーマが多様化しています。和風なデザインと聞くと、少し古いイメージがありますが、単なる「伝統」ではなく、洗練された美しさやブランド価値を高める要素として活用できます。特に、以下のポイントを意識すると、和風の魅力を活かしたホームページを作ることができます。余白(間)を活かしたレイアウト落ち着いた和の配色和柄やテクスチャの活用明朝体や筆文字などのフォント選び和風デザインを取り入れて、ブランドの価値を高めるホームページを作りましょう!