ノーコードツール「Studio」の登場により、Web制作のあり方は大きく変わりつつあります。その中で、いち早くStudioを取り入れ、確かな成果を出しているのがノックデザイン。2025年4月には、Studio公式の「Gold Expert」にも認定されました。「なぜStudioなのか?」「ノーコードで本当にクオリティは担保できるのか?」今回は、共同代表である田島さんに、導入の経緯や活用の工夫、そして今後の展望を伺いました。創業当初からの課題と、Studioとの出会い長門:最初にStudioを使い始めたのって、いつ頃だったか覚えてますか?田島:2022年頃からですね。実は創業が2021年で、創業してすぐに使い始めたような流れです。長門:かなり早い段階で導入してたと思うんですが、導入の決め手はなんでしょうか?田島:当時は私と長門、もう1名がデザイナーの3名体制で、外部のエンジニアにWordPress実装を依頼していたんですが、実装に時間もコストも取られてしまっていて。もっと企画やデザインに時間を割きたいのに、制作全体の半分弱ぐらいの予算が実装に費やされてしまっていたんです。保守も外部に頼もうとすると、たとえば100万円の案件で外注費が40万円以上、保守管理も外部に任せる必要があるケースが多かった。内製化も検討しましたが、エンジニアを1人採用しただけでは保守・運用面への不安が拭えず、そんな時に出会ったのがStudioでした。他のノーコードツールではなく、なぜStudioか?長門:ノーコードツールは他にもありますが、Studioを選んだ理由は?田島:WebflowはUIが英語で、サポートも海外主体。日本語での情報も少なく、クライアントが自社で運用するにはハードルが高かったですね。Wixも実際に導入したことがありますが、デザインの自由度が低く、独自の構成にも限界を感じました。その点Studioは、日本製でUIも直感的、カスタマーサポートも充実しており、日本語での情報もあり安心。ビジュアルの柔軟性も高く、法人サイトやブランディング目的のサイトに適していると感じています。制作体制とクライアント対応の変化長門:Studioを導入してから、社内の制作体制にもけっこう変化があったと思いますが、どう感じてますか?田島:大きく変わりました。今でも実装専任のメンバーはおらず、社内のデザイナーがStudioの実装も兼務して実装まで対応するケースが多いです。修正依頼もすぐ対応できますし、WordPressで必要だったサーバーやプラグインのバージョン管理も不要になりました。長門:一部のページはデザイン工程を省略しているんですよね?田島:はい。FAQやプライバシーポリシーなど定型的なページは、ワイヤー確認だけでStudio上で直接実装することも増えています。結果として、クライアントの要望に対して素早く、かつコストを抑えて応えられる体制になってきました。 さらに、制作全体として“どこにコストをかけるべきか”という意識も明確になってきましたね。単に削減するのではなく、削減できた分を企画や設計、コンテンツの質向上に再投資することで、より本質的な価値を生み出す制作が可能になっています。納品して終わりから納品後が本番へ。Studioが変えた運用体験長門:クライアントがStudioを導入したあと、運用面で変わったと感じることはありますか?田島:一番大きいのは「自分たちで安心して触れるようになる」ことですね。WordPressでは「操作ミスで壊れるかも」といった不安があるため、更新に業者を頼らざるを得ないケースが多かったです。Studioは操作が直感的で、仮にミスしても編集履歴からすぐに戻せる。また、保守費用もStudioの利用料のみで済むので、運用の心理的・金銭的ハードルが一気に下がるんです。その結果、「育てていく前提」のサイト設計ができ、成果にもつながりやすくなっています。引き継げないサイトからの脱却。Studioが拓く乗り換え自由な世界長門:最近は、他の制作会社からの乗り換え相談をいただくことも増えてきましたよね。田島:そうですね。「少し直したいだけなのに費用が大きい」「修正に時間がかかる」といったご相談は多いです。WordPressだと、構造が複雑だったり古かったりして、途中から他社が対応しにくい。結果的に「部分修正よりもリニューアルが早い」と判断せざるを得ないケースもあります。一方Studioは、構造が明快で他社が制作したサイトでも把握しやすい。追加ページ制作やTOPだけのリデザインといった部分対応もしやすく、スイッチングコストの低さが大きな魅力になっています。ノーコードの本質は「誰でも使える」だけでなく、「どこからでも引き継げる柔軟性」にあると思っています。Studioが持つスピードと柔軟性が、現場で活きた瞬間長門:短納期や一部改修など、Studioの柔軟さが役立ったケースもいくつかありましたよね。田島:そうですね。ワイヤー作成から納品までを1ヶ月で完了したプロジェクトもありました。通常2〜3ヶ月かかるような案件でも、Studioなら無理なく短縮できる。デザインと実装が分断されないから、スピード感を持って進められました。StudioとSEOの相性はどうか?長門:Studioって、SEOが弱いってイメージを持たれてることも多いと思うんですが、そのあたりどうでしょう?田島:それはよく聞かれますが、実際にはStudioで構築した自社サイトで、半年ほどで月間PVが10倍以上に増えたという成果も出ています。構造をしっかり整えて、キーワード設計とコンテンツ戦略を立てれば、十分に成果は出せます。長門:実際、どんなSEO対策を意識して進めてるか、もう少し詳しく教えてください。田島:まず構造面では、見出しタグの使い分けや内部リンク、meta情報の整備など、基本的な内部対策を丁寧に行っています。Studioは制限があるとはいえ、主要なSEO要素は一通り対応可能です。また、コンテンツ制作ではロングテールキーワードを狙った記事戦略を行っており、Pascal(パスカル)などの分析ツールも活用しながら、構成案の段階から検索意図を反映させるようにしています。長門:すごく体系立てて考えてるんですね。田島:はい、特に意識しているのは「トピッククラスターモデル」の考え方です。ピラーページと関連する子記事をセットで設計し、テーマごとに網羅的な情報提供を行うことで、サイト全体の専門性と網羅性を高めています。長門:Studioの仕様面で、課題を感じる部分はありますか?田島:現時点では表示速度にやや課題があると感じています。ただ、Studio側でもパフォーマンス改善のアップデートを準備しているようですし、今後さらに強化されると期待しています。今の段階でも十分戦えるポテンシャルはありますし、そこをどう設計と運用でカバーするかが鍵ですね。Studioの進化スピードが未来の安心につながっている長門:ここ数年でStudioってどんどん進化してますけど、その変化についてどう感じてますか?田島:Studioを触り始めたのは2022年頃ですが、この3年間でのアップデートの速さには本当に驚かされています。「今はできない」が「数ヶ月後にはできるようになる」ということが、本当にあるんです。たとえば、CMSの複数カテゴリ対応や、アイテムごとの公開ステータス設定といった機能も、着実に強化されてきました。こういった継続的な進化があるからこそ、「いま完璧じゃないから使えない」ではなく、むしろ“将来も使い続けられる”ツールだと感じています。ノックデザインとしても、Studioのアップデートをキャッチしながら、柔軟に対応していくスタンスを持ち続けたいです。ノーコード市場のこれからを創る。ノックデザインが見据えるStudioの未来長門:ノーコードという言葉自体もまだ新しく、業界としては発展途上だと思います。田島さんはこの市場をどう見ていますか?田島:僕たちは「Studio制作ならノックデザイン」と言っていただけるような存在になりたいと思っています。ツールとしてStudioを“使い倒す”だけでなく、それを起点に業界のスタンダードを変えていく役割を担いたいんです。そして、他の制作会社さんとも連携して、一緒にノーコードプロジェクトを進めていけるような体制もつくっていきたいです。まだStudioに踏み切れていない会社も多いので、「実装はノックデザインに任せよう」と言ってもらえるような関係を築いていきたい。ノーコードの可能性を広げるのは、僕たちのような“現場の実装者”だと思うので。長門:ノックデザインとして、今後この分野でどういう立ち位置を築いていきたいと考えていますか?田島:ノーコードは“誰でもできる簡易的な手段”ではなく、“プロの成果を最短で出すための武器”。その信念のもと、ノックデザインはこれからもStudioという選択肢を武器に、Web制作の可能性を広げていきます。まとめ|ノーコードは妥協ではなく、最適化の選択Studioは、単なる効率化ツールではありません。ノックデザインは、“必要な機能に集中し、成果につながるサイトを速く、美しく作る”という価値を、Studioを通じて実現しています。その結果、更新されずに放置されるWebサイトではなく、“育て続けられるWebサイト”が生まれる。ノーコードは未来志向の選択肢であり、ノックデザインはその実践者として、これからも先頭を走っていきます。