近年ではインターネットでの情報収集が当たり前になり、物件を探す際にもまずホームページで比較・検討をすることが一般的となりました。特に不動産業界では、物件情報だけでなく、企業の信頼性やサービスの質も重要視されるため、ホームページのデザインやコンテンツが重要となってきます。また、不動産の購入や賃貸契約は高額な取引になるため、即決することは少なく、じっくりと検討したうえで意思決定が行われます。そのため、ホームページには訪問者が求める情報をわかりやすく掲載し、信頼感を高める工夫が必要です。本記事では、不動産会社のホームページ作成において押さえておきたいポイントを解説するとともに、参考にしたい事例を10選ご紹介します。新規顧客獲得や認知向上につながるホームページを作るためのヒントを得られるので、ぜひ最後までご覧ください!不動産会社のホームページ作成で押さえたい3つのポイント1. 競合と差別化できる「選ばれる理由」を明確にする不動産業界は競争が激しく、単に物件を並べるだけでは他社に埋もれてしまいます。特に、大手企業と比べると物件数で勝負するのは難しいため、「この会社ならではの強み」 を明確に打ち出すことが重要です。訪問者が「ここなら信頼できる」「この会社に相談したい」と思えるような強みを伝えることで、問い合わせや成約につながります。差別化のためのポイント専門性を強調する「ペット可物件に特化」「リノベーション物件専門」「法人向け社宅支援」など、特定のジャンルに特化することでターゲットを明確にできます。地域密着の強みをアピール「○○エリアの物件数No.1」「地元密着30年の実績」など、地域情報に精通していることを伝えると、そのエリアを検討しているユーザーに刺さる可能性があります。独自のサービスを打ち出す「オンライン内見対応」「外国語対応スタッフ常駐」など、他社にはないユニークなサービスをアピールすることで、他者との差別化が図れます。2.物件探しがスムーズにできる「ユーザー視点の情報設計」膨大な物件情報を扱う際は、ホームページの設計が複雑になると、訪問者がストレスを感じて離脱する可能性があります。そのため、「どれだけスムーズに物件を探せるか」 が、サイトの使いやすさを左右する重要なポイントです。物件探しをスムーズにするためのポイント詳細な検索フィルターを用意「エリア」「賃料」「間取り」「築年数」だけでなく、「ペット可」「駅徒歩5分以内」「駐車場あり」「デザイナーズ物件」など、ユーザーのこだわりに合わせた検索オプションを充実させると尚良いでしょう。視覚的にわかりやすいデザイン設計物件写真をスライドで表示するなど、視覚的に魅力が伝わるデザインにするとユーザーの目に留まりやすいです。「新着」「おすすめ」「キャンペーン中」など、アイコンやタグを活用して直感的に理解しやすくするのもおすすめです。物件詳細ページを充実させる写真や動画、360度ビューを活用し、物件のリアルな雰囲気を伝えると良いでしょう。「生活利便性指数」「周辺環境のレビュー」など、入居後のイメージが湧く情報を掲載すると、検討しやすいです。スマホ対応でユーザーの利便性を向上総務省の「令和3年通信利用動向調査」(2021年)によると、個人のスマートフォン保有率は83.4%。特に、20代から50代では90%以上がスマホを所有しているというデータもあります。この傾向を踏まえると、2025年現在ではさらに普及が進み、ほとんどのユーザーがスマホで情報収集を行っていると考えられます。物件探しも例外ではなく、通勤時間や休憩中などの隙間時間にスマホで手軽にチェックするユーザーが増えています。そのため、レスポンシブデザインはもちろん、直感的に操作しやすいUI設計が重要になります。令和3年通信利用動向調査の結果https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/220527_1.pdfスマホで使いやすくするためのポイント片手操作でもスムーズに操作できるデザインスマホは片手で操作することが多いため、ボタンのサイズや配置に工夫が必要です。特に「お問い合わせ」など重要なボタンを、指が届きやすい画面下部に固定することで、すぐにアクションを起こしやすくなります。スクロールしやすく、ストレスを感じさせない動線設計スマホユーザーは縦スクロールが基本なので、操作のしやすさが求められます。スクロールの途中で迷わないように、「戻る」や「トップに戻る」ボタンを表示するなど、必要なページへスムーズに移動できるようにするのも有効です。無駄を省いたシンプルなUIデザインスマホはPCに比べて画面が小さいため、情報を詰め込みすぎると操作しづらくなります。重要なテキストは簡潔にまとめて、補足情報は「続きを読む」ボタンを設け、必要に応じて展開できるようにすると、スッキリとしたデザインになります。不動産会社のホームページで取り入れたいコンテンツ1.迷わず比較できる「見やすい物件情報ページ」不動産のホームページでは、ユーザーが複数の物件を比較しながら最適な選択をすることが重要です。しかし、情報が整理されていなかったり、比較しづらい構造になっていると、途中で離脱する原因になってしまいます。物件探しをスムーズにするために、比較・検討しやすい情報設計を取り入れましょう。「おすすめ物件」や「類似物件」表示で選択肢を広げる閲覧履歴や検索条件をもとに、ユーザーに合ったおすすめ物件を自動表示すると、選択肢を広げやすいです。「この物件を見た人は、こちらの物件も見ています」といった見出しだと興味も持ちやすいです。「お気に入り登録+通知機能」で検討を後押し気になる物件を「お気に入り」に保存し、価格変更や新着情報があれば通知が届くようにすると、再び興味を持ってもらいやすいです。期間限定キャンペーンや、残りわずかの物件には、アラート表示を行うと検討の後押しとなります。「比較しやすいUIデザイン」を取り入れる物件一覧をカード形式やタイル型で表示し、一覧性を高めると視覚的に分かりやすいです。各物件の特徴をタグ(例:「新築」「ペット可」「駅近」)で一目で分かるようにすると尚良いでしょう。2.お客様の声を掲載して安心感を不動産は、人生の中でも大きな決断のひとつ。特に初めて家を借りる・買う人にとっては、不安がつきものです。そのため、実際に契約したお客様のリアルな声を掲載することで、信頼感を高められます。リアルな体験談をストーリー仕立てで紹介「満足しました!」という一言ではなく、「どのような悩みがあったか」「なぜこの物件を選んだのか」「住んでみてどうだったか」といったエピソードを交えて紹介すると、訪問者に共感を与えやすくなります。写真や動画を活用し、よりリアルに伝えるお客様のインタビュー動画や、実際の部屋の写真とともに体験談を掲載すると、信ぴょう性が増します。さまざまなターゲットの事例を掲載する「単身者向け」「ファミリー向け」「投資用物件購入」など、ターゲットごとの事例を用意すると、訪問者が自分に合った情報を見つけやすくなります。3.お役立ちコラムで認知向上物件探しをするユーザーの多くは、不動産に関する知識が十分ではありません。役立つ情報を発信することで、ユーザーとの接点を増やし、ホームページの価値を高めることができます。また、お役立ちコラムは検索エンジン対策(SEO)にも効果的です。価値ある情報を発信し続けることで、集客力を強化できます。エリアごとの住みやすさ・相場レポート「○○エリアは子育てしやすい街?」「○○駅周辺の家賃相場は?」といった情報を提供することで、ユーザーの興味を引きやすくなります。住宅ローンや補助金情報を発信住宅購入を検討しているユーザーに向けて、「住宅ローンの基礎知識」や「利用できる補助金・減税制度」などの情報をまとめると、問い合わせにつながる可能性が高まります。物件選びのポイントやチェックリストを提供「内見時にチェックすべきポイント」や「契約時の注意点」など、初心者向けの解説コンテンツを用意すると、サイトの利便性が向上します。写真が印象的な不動産業界のホームページ事例さくら不動産https://sakurafudousan.jp/さくら不動産は、長野県の白馬・大町・安曇野エリアNo.1を誇る不動産会社です。都会の喧騒を離れて自然豊かな土地で暮らしたいというニーズをくみ取り、ファーストビューでは北アルプスの山や湖のダイナミックな写真でユーザーを惹きつけます。全体的に自然豊かな写真を使用し、白馬・大町・安曇野の魅力を引き出す構成となっています。物件情報だけでなく、白馬・大町・安曇野の紹介ページを設けることで、地域の魅力をしっかりと伝える情報設計となっています。株式会社ジョックスhttps://jox-jp.com/株式会社ジョックスは、外国人向け不動産仲介の専門の不動産会社です。重厚感のある上質な写真を多く使用されており、デザイントーンとしてもリッチな印象のホームページに仕上がっています。海外投資家や日本でセカンドライフを過ごしたい外国人富裕層に向けたホームページとして、ラグジュアリー感のあるアプローチは効果的と言えるでしょう。イラストで親しみやすい不動産業界のホームページ事例ビッグマウンテンhttps://bigmountain0628.com/(制作:株式会社ノックデザイン)ビッグマウンテンは、関西エリアのネット完結型物件探しサービスです。ビッグマウンテンの代表・大山さんをモチーフにしたキャラクターを採用し、親しみやすさと安心感を演出しています。イラストを活用して親近感を感じさせることによって、オンラインでも気軽に問い合わせできる雰囲気を作り出しています。FINDERShttps://www.finders-tokyo.co.jp/株式会社FINDERSは、首都圏広域でお部屋探しをサポートする不動産会社です。他社にはない限定の希少物件を取り揃えていることが強みです。ロゴに合わせたブルーと線のタッチが印象的なイラストをメインに使用しています。ブランドイメージを踏襲しつつ、イラストを活用した独自性が感じられるデザインに仕上がっています。サンクライフ株式会社https://sanclife.co.jp/サンクライフ株式会社は、関西を中心とした不動産会社で、不動産事業のほかにも不用品回収事業も行っています。キービジュアルでは神戸をイメージしたゆるく可愛らしいイラストを使用しています。サイト全体でイラストをちりばめて、親しみを感じさせる構成になっています。そのほかメンバー紹介では写真ではなくイラストを使用し、魅力あるキャッチーな印象に仕上がっています。情報が見やすい不動産業界のホームページ事例きぼう不動産グループhttps://kiboufudousan.jp/きぼう不動産グループは、兵庫県西宮市に本社がある不動産売買の仲介を行う不動産会社です。不動産会社のホームページは、膨大な物件情報を扱うためページ構成が複雑になりやすい傾向がありますが、本サイトではメニューボタンや追従ボタンを活用して情報整理を上手く行っています。物件情報ページでは、検索フィルターを設置して条件を絞り込めるため、スムーズに物件探しができる設計になっています。東亜不動産https://www.toa-estate.co.jp/株式会社東亜不動産は、熊本県を拠点に不動産売買・賃貸・管理を行う不動産会社です。PCでは左にヘッダーが固定される構成で、「買いたい」「売りたい」「借りたい」「貸したい」といった目的別にカテゴリーが分けられ非常に使いやすい導線となっています。絞り込み条件もかなり細かく分かれており、ユーザーのこだわりに合わせて最適な物件を探すことができます。R-STOREhttps://www.r-store.jp/R-STOREは、ホームページのみの営業スタイルが特徴で、関東エリアを中心とした不動産会社です。実店舗を持たないホームページ特化のサービスだからこそ、物件の探しやすさが群を抜いています。「間取り」「築年数」「沿線・エリア」といった一般的な検索オプションのほかにも、こだわり条件として「リノベーション」「デザイナーズ」「庭・ルーフバルコニー」といった変わった条件も充実しています。物件の詳細ページでは、同じ物件の別の部屋や条件の近い物件もまとめられており、比較・検討がしやすい構成になっています。スマホで見やすい不動産業界のホームページ事例ウルカモhttps://cowcamo.jp/urucamoウルカモは、株式会社ツクルバが運営する家を売りたい人と買いたい人をマッチングするサービスです。画面上部に検索フィルターや表示順を変更できる機能があり、スクロールの途中でも常に条件変更ができるようになっています。また、物件一覧では2カラムレイアウトを起用し、小さな画面でも豊富な物件情報を一度に取得できて非常に使いやすいです。LIFULL HOME’Shttps://www.homes.co.jp/LIFULL HOME'Sは、不動産の売買や貸借などの契約の成立を仲介する大手の不動産会社です。かなり膨大な物件を取り扱っていますが、非常に分かりやすいUIで、順番にページ遷移しながら絞り込みを行ってくれるため、迷うことなくユーザーの目的に合った物件を探すことができます。チェックボックスやプルダウンメニューのサイズも程よく、指でも操作しやすいデザインとなっています。そのほかにも、前回検索した条件や最近見た物件を保存する機能があり、比較検討がしやすいホームページとなっています。不動産会社のホームページ作成における3つの注意点1.ターゲットに合ったデザインを選ぶ不動産会社のホームページを作成する際、最も重要なのはターゲット層に合わせたデザイン選びです。例えば、ファミリー向け物件を主に扱う場合は、明るく温かみのあるデザインを中心に、写真やイラストを多用するなど、家族が笑顔で過ごせそうな印象を伝えましょう。一方、投資用物件やハイクラス物件を扱う場合は、シンプルでモダンなデザインが適しています。落ち着いた色調や洗練されたフォントを使用し、信頼感と高級感を演出することが大切です。また、ターゲット層の年齢によってもデザイン選びは変わってきます。若年層向けであればスマートフォン対応を最優先し、直感的な操作性を重視したデザインが効果的です。シニア層がメインであれば、文字サイズを大きくし、ナビゲーションをシンプルにするなど、使いやすさを重視したデザインを心がけましょう。2.法令遵守とプライバシー対策の徹底不動産業界は宅地建物取引業法をはじめとする法規制があり、ホームページにおいても遵守が求められます。物件情報には取引態様、所在地、面積などを正確に表記する必要があります。実際の物件と異なる表現や過度な演出は避け、正確な情報提供を心がけることが基本です。また、個人情報保護法に基づくプライバシーポリシーの掲載も重要です。問い合わせフォームなどで収集する個人情報の利用目的や管理方法、第三者提供の有無などを明確に記載し、顧客の信頼を獲得することが重要です。セキュリティ対策としては、SSL証明書の導入(https化)が基本となります。技術的な内容に聞こえるかもしれませんが、多くのレンタルサーバーやホームページ作成サービスでは標準的に提供されている機能ですので、ご安心ください。3.物件情報の更新を定期的に行う不動産ホームページの価値は、常に最新の物件情報が掲載されているかどうかで大きく左右されます。売却済みや成約済みの物件が掲載されたままだと、ユーザーに不信感を与えてしまいます。そのため、週に1回など定期的なタイミングを決めて情報を更新する習慣をつけることをおすすめします。更新作業が負担にならないよう、社内で担当者を決めて役割分担するのも効果的です。また、「新着物件」や「おすすめ物件」などのコーナーを設けることで、リピーターを増やす効果も期待できます。更新日を明示することも、情報の信頼性を高める方法となるでしょう。まとめ近年ではインターネットでの情報収集が当たり前になり、不動産業界においてもホームページは顧客獲得のための重要なツールとなっています。本記事では、不動産会社のホームページ作成において押さえておきたいポイントを解説するとともに、参考にしたい事例を10選ご紹介しました。ぜひ参考事例をもとにアイデアを広げて、貴社ならではの魅力を効果的に伝えるホームページ作りにお役立てください。ホームページは会社の顔であると同時に、24時間365日働く営業マンでもあります。これらのポイントを押さえた質の高いホームページを運営することで、効果的な集客と成約率の向上につなげていきましょう。