初めまして、こんにちは。ノックデザインの川口です。新社会人になって約3ヶ月が経ち、少しづつ環境に慣れてきたところで、有難いことにキッチンカーのデザイン案件を担当させて頂くことになりました。今回のプロジェクトでは、デザイナー歴10年の代表・田島の監修のもとで進めることができたので、安心して挑戦することができました。 最初は不安もありましたが、田島さんからのフィードバックやアドバイスを受けながらデザインを磨き上げ、最終的にお客様にも満足いただける結果を出せたと感じています。この記事では、発案から完成までの経緯を詳しくご紹介いたします。初めての案件5月末「キッチンカーのデザインをしてみないか」と声かけを頂いて始まりました。入社して丸2ヶ月経って、私個人としては初めての案件となります。弊社の代表のお知り合いがお客様とのことですが、普通、この早さでひとつの案件をお任せ頂けることは稀で、とても貴重なことだと思います。不安もありましたが、弊社の社風に感謝しつつ、お客様との打ち合わせからスタートさせて頂きました!デザインの内容早速お客様にご挨拶させて頂き、ヒアリングからスタート。今回私がお世話になるのは「たこ焼1−1(いちのいち)」さん。もともと大阪でたこ焼屋さんとしてお店を出されているのですが、夏に向けてキッチンカーを展開していくとのことでお話を頂きました。以下、今回私が担当することになったデザイン概要です。タペストリー4枚スタンド看板1枚お客様からの要望は、「老若男女や海外の方も一目で見てわかりやすいデザイン」「インパクトが欲しい」とのことで、特に味を自慢したいとのことでした。商品はたこ焼が4種類(ソース、塩マヨ、ごま油ネギ塩、そのまま)と唐揚げで、8:2くらいの割合で、たこ焼をメインとしたデザイン。お電話で直接打ち合わせをして、店名に沿って学校のようなデザインもできればと、イメージ画像をいくつか送って頂き参考にしました。キッチンカーに足を運ぶお客様の心理キッチンカーのデザインをするにあたって、どんなキッチンカーに足を運びたいのか考えました。誰でも来ることができる・たくさんお店が並ぶイベントから、学祭、公園など出店の形は様々です。特にイベント等では食べ物のキッチンカーが多い上に、同じたこ焼のお店も出ている可能性は大いにあります。その中でお店を選ぶお客様の心理は「失敗したくない」「選んだお店がハズレだったら嫌だな」と思う方が多いはずです。美味しそうと思わせる写真を大きく使ったり、惹かれるキャッチコピーを考えたり、手法は様々で、とても悩みました。ラフ案1ラフに取り掛かります。電話にてヒアリングしながら、ざっくり手描きでまとめてみたものです。お客様により伝わりやすいようにAiデータで作成しました。↓本などの印刷は学生の時に少し触れた記憶はありますが、タペストリーのような大きいものは初めてでした。タペストリーにも種類があり、ラフ時点でこのように提案し、選択して頂きました。デザインについてのヒアリングをして、店名である「たこ焼1−1」を活かして、学校風のデザイン(以降に詳しく述べています)にするのか、目立つデザインに重きを置くのか迷いつつ、最初に作成したものがこちらです。学校をイメージしたデザインを施しました。文字や装飾は黒板にチョークで描いているかのようにテクスチャをかけ、メニューは磁石で掲示板のように張り紙をしているデザインです。他にも相合傘や、赤ペンで書いたような強調の仕方で学校のイメージを盛り込みました。最初は全て緑で構成していたのですが、まとまりすぎて目立っていないと感じ、上部のみタコのイメージがある赤色を使いました。(写真は仮でネット上で保存したもので構成しています。)以下のように、手描き風のところは実際にiPadで描いたものを持ってきて、ポップで学校らしいデザインも加えました。また、当初は看板の予定でしたが、タペストリーでメニューは十分伝わるので「何か目を引くもの」として、パネルやバルーン等を提案させて頂きました。こちらのラフをお客様に提案させて頂いたところ、デザインに関しては概ね問題無さそうでしたが、やはり目立つデザインというところで悩んでいらっしゃる印象でした。コンセプトを注視して制作したことと、目立つものが多く、逆に埋もれてしまっていることが大きな要因だと感じました。その後はフィードバックや変えたい言い回しなどを調整させて頂く形になったのですが、お客様に100%満足して、このデザインが良いと言って頂きたいなと思い、一旦学校イメージを置いて、誰が見てもすぐにたこ焼と理解できるわかりやすさや、目立たせたいキーワードを選んでもう少し練り直すことにしました。ラフ案②目立つデザイン、一目でたこ焼とわかるデザイン、少しユーモアのあるデザイン…様々な角度から考えてみて、以下のラフ案が出来上がりました。デザインとしては4種類、色違いや少しパターンを変えたもの含め8種です。たこ焼も実際の商品の写真を送って頂き、より完成に近いラフ案ができました。①辞書風左上が辞書のようにたこ焼の説明を背景にしたインパクト重視のもの。目に止まると一旦読んでしまう人も多いのではないでしょうか。普通にたこ焼を押し出すよりもなんだか凄みが出ています。個人的には一番たこ焼に大きくファーカスが当たるデザインだったのではないかなと思います。②黒板風(改)右上のデザインは、もともとの黒板風を残しつつ、写真を大きめに配置し、装飾を減らしてたこ焼が目立つようにしました。お客様から参考として送って頂いていた写真が、写真のインパクトが強いものが多く、食品はいかに美味しそうに見せるかも大事なポイントになるかと思うので、そこを意識しました。③ビジュアル重視左下のデザインは、写真をメインに使用した、食べ物のビジュアル重視のデザインです。「ふわっ、とろっ」という文字も大きめに配置し、食欲をそそるデザインを心がけました。こちらも2パターン作成し、配置を変えて文字がすぐ目に入るようにするか、写真が目に入るようにするかで考えました。④わかりやすさ重視最後に右下のデザインですが、今までのデザインからいくつか要素をとって、必要最低限の情報で構成しました。食欲をそそる赤色と、元の案の黒板イメージを残した緑の2パターンで、メインは箸で持ち上げているたこ焼の写真と文字。白の枠線をバックにおいて立体感を出しています。最終決定ラフ案②でまとめたものをお客様に提出させて頂いたところ、③の①ビジュアルを重視したデザインを選んで頂けました!大変気に入って頂き、以前のヒアリングの際にも少し感じていた「商品をもっと目立たせたい」という課題も解決できたように思えます。メインになるデザインが決まったため、こちらに合わせて残りの4枚も作成致しました。メインのタペストリーが写真重視のため、看板の役割を果たす上部のタペストリーと、お品書きは黄色に黒文字のシンプルなデザインで差別化を図りました。目立つかつ、商品の写真にも焦点を当てることができたかと思います。そして、看板については「お品書きがあるのにメニューを別で作成するのは勿体無い」ということで、こちらもインパクトのあるパネルを作成しました。「足を止めてもらう」「注意を引く」ということで、標識をモチーフにたこ焼関連のものでパロディしたものです。参考にしたものは以下のような標識です。街中でよく見る標識を抜粋しました。馴染みがある形や色なのに、よく見るとたこ焼仕様になっているというのは、わかりやすく面白いのではないかと考えました。大型の形は崩さずに、簡易的なたこ焼のイラストと文字を組み合わせることで、ポップさも出しつつ、標識の役割も果たせるようデザインしています。最後に全てを元のラフ案に当てはめたものがこちらです!最終確認をお客様にして頂き、入稿データを作成。タペストリーの印刷は初めてだったため、いくつかの印刷会社のテンプレートを比較し、入稿予定の印刷会社様で出来るサイズを確認して余白を設定しました。今回は棒を入れる輪っかを作る予定だったため、冊子と比べて広めの余白が取られる印象でした。慣れないサイズ感だったため、文字や写真が切れないか複数回確認して完成。初の案件を形にすることができました!初めての案件を受けて冒頭にも述べましたが、入社してこんなに早く案件を任せて頂けると思っていなかったので、不安が大きく、悩むこともたくさんありましたが、最終やってみた感想としては「楽しい」が一番大きかったなと思います。特に、ラフ案②で色々なパターンのデザインを考えている時が楽しくて、自分はデザインをするのが好きなんだなと改めて思えました。お客様にも満足いただけたので、この経験を忘れないように今後もデザイナーとして日々精進していこうと思います。キッチンカーは夏頃に稼働予定と聞いているので、今は完成した実物を見るのが楽しみです。もしどこかで見かけたら、足を運んでみてくださいね!ここまでご覧いただきありがとうございました!