コーポレートサイトのリニューアルは、見た目を整えるだけのプロジェクトではありません。採用・営業・認知拡大など、企業の目的を叶えるための手段であり、成果につながるWeb活用の第一歩です。この記事では、「何から考えればいいかわからない」「失敗したくないけど、正しい進め方が分からない」といった方向けに、ノックデザインの実務経験をベースに、リニューアルを成功に導くためのプロセスとチェックポイントを解説します。まずは、そもそもなぜコーポレートサイトをリニューアルするのか?という“目的”と“ゴールの考え方”から整理していきましょう。多くの企業が陥りがちなのが、「なんとなく古いから」「見た目を変えたいから」といった曖昧な理由で始めてしまうケースです。しかし、本来リニューアルは企業の課題を解決するための手段であるべきです。そこで本記事では、「目的を定める段階」から「制作・運用フェーズ」までの流れを、依頼前と依頼後に分けて丁寧に解説します。初めての方でも迷わず進められるよう、チェックリストも交えて具体的なステップをご紹介します。コーポレートサイトリニューアルの目的とゴールの考え方リニューアルの背景や目的には、主に以下の3つのパターンがあります。それぞれの目的に応じて、ゴールや進め方が変わってきます。リニューアルを検討される企業には、いくつかの代表的なパターンがあります。1. Webでのリード獲得を強化したい企業とくにBtoB系の企業で多く、これまで架電などの営業中心でやってきたが、今後はWebマーケティング(広告・SEO)にも注力したいというケース。既存サイトは知人に作ってもらった、数年前のまま、という状況でご相談をいただくことが多いです。2. 採用強化を目的とする企業単体の採用サイトを作ることもあれば、コーポレートサイト自体を刷新して採用コンテンツを充実させる場合もあります。業界やフェーズによって求職者への伝え方は大きく異なるので、企画や撮影から支援させていただくことも多いです。3. 更新や運用に課題を感じている企業運用コストが高い、更新依頼に時間がかかる、といったストレスから、もっと簡単に運用したいというご相談。STUDIOなどノーコードツールを活用して、運用コストや心理的ハードルを下げる提案をすることがよくあります。こうした3つの目的はいずれも、「企業として何を達成したいのか?」という視点から考えることが大切です。見た目を新しくすること自体はリニューアルの“目的”ではなく、“手段”のひとつ。成果につながるリニューアルを実現するには、まずこの「目的」と「ゴール」をしっかり言語化するところからスタートする必要があります。では、具体的にどうやって進めていけばよいのでしょうか?ここからは、成果につながるリニューアルのステップを順にご紹介していきます。成果につなげるための進め方【依頼前のステップ】ステップ1:ゴールから逆算して、課題を明確にする最初にやるべきことは「課題の整理」と思われがちですが、実は「ゴールを定めること」が先です。なぜなら課題は、現状とゴールのギャップから見えてくるものだからです。たとえば、ゴールが「月10件のリード獲得」であれば、仮にCV率1%なら、月1000件のアクセスが必要。現状のアクセスが100しかなければ「流入数が足りない」という課題が見えてきます。このように、売上や採用数といったゴールから逆算して、「Webでは何をすべきか」を定めていきます。もし自社で考えるのが難しければ、「目標から逆算したゴール設定を一緒にしてほしい」と制作会社に相談するのが良いと思います。ノックデザインでは、GoogleアナリティクスやPascal(SEO分析ツール)を使って、課題の見える化を行うことも多いです。ステップ2:概ねの予算とスケジュールを決めておく制作費用に関しては、当然安いに越したことはないですが、「コストパフォーマンス」で考えるのが重要です。品質が低ければ、成果が出ずにまたリニューアルになる。最初から予算をかけてでも“耐久性のある”サイトを作っておけば、将来的にリニューアルではなく、改善ベースで回していけるので、結果的にコストも抑えられます。見積もりは複数社に取り、金額だけでなく「何にどれくらい時間をかけているか」も比較しましょう。スケジュールは、明確な公開日がない限りは制作会社に任せるのがおすすめです。無理に急ぐと、表面的な仕上がりになってしまいがちです。ノックデザインの場合は、STUDIOなどノーコードツールを活用して、撮影・ライティング込みで150〜300万円程度の案件が多いです。制作期間は2〜3ヶ月、内容によっては4ヶ月以上になることもあります。ステップ3:必要なページ・構成をざっくり洗い出すリニューアルではページ数が増えれば費用も増えがちなので、「どこまでを用意すべきか」の見極めが必要です。基本的には、競合他社の構成を見ながら網羅的に用意するのがおすすめです。 「このページ、他社もみんな持っているな」と思うような内容は、入れておいて損はありません。その上で、必要なページ数を洗い出し、見積もりをとってから優先度で調整するのが現実的な進め方です。ノックデザインでは、SEO的な観点で競合調査を行い、必要なキーワードから逆算してページ構成を設計することも多く、 「実績」「料金」など、検索ボリュームが高く、かつ信頼性につながるページは必ず押さえるようにしています。また、ブランディングの観点からページ構成を意識することもあります。たとえば、「透明性」「誠実さ」を感じさせるサイトにしたい場合、「料金ページ」で制作費の内訳や見積もりの考え方を丁寧に開示したり、「制作の流れ」ページでどのような体制・プロセスで進行するかを明記したりすることで、ユーザーに対して他者と差別化をすることが可能になります。ステップ4:依頼先に求める条件を整理する制作会社によって、得意とする領域やスタンスは大きく異なります。そのため、「何を重視して選ぶのか」をあらかじめ整理しておくことが、ミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。判断基準としてよく挙げられるのが、デザインの品質/費用感/対応範囲/提案内容などの4軸です。どれか一つに偏るのではなく、総合的な観点で比較することをおすすめします。たとえば、「名刺代わりのシンプルなサイトをとりあえず作りたい」のであれば、コストパフォーマンスと実績の品質が優先されるかもしれません。一方で、問い合わせ数の向上や採用強化など成果を求める場合は、戦略設計・デザイン提案力・コンテンツ設計・SEO支援といった上流からの関与が重要になります。また、どこまでを自社で対応し、どこからを制作会社に任せたいのか、あらかじめ線引きをしておくことも大切です。実際には、ライティングと撮影を依頼するかどうか、という部分が主な分かれ目になることが多く、予算に余裕があればこのあたりは外注することで、より質の高いコンテンツが作れる傾向にあります。加えて、「提案型か、御用聞き型か」という制作会社のスタンスも判断ポイントの一つです。意図をくみ取って広げてくれる相手かどうか、コミュニケーションの中で確認していくことが大切です。成果につなげるための進め方【依頼後〜制作】ステップ5:要件のすり合わせと方向性の確定目標や課題を明確にしたら、それを“どう実現していくか”という視点で、制作会社と綿密なすり合わせを行います。ノックデザインでは、要件定義の初期段階で、まず競合・ペルソナ・自社の強みを整理することを重視しています。とくに重要なのは、競合にない自社の強みの中で、ターゲット(ペルソナ)が本当に求めている価値を見出すこと。この3点が交差するポイントこそが、サイト全体の打ち出し方や訴求軸の土台になります。すり合わせが甘いと失敗しやすいポイントとしては、更新範囲の認識のズレや、ゴールが曖昧なまま進行してしまうことが挙げられます。最初のすり合わせ段階で「この情報は誰がどこまで対応するのか」「サイトの成功は何で測るのか」を明確にしておくことが重要です。このフェーズでのすり合わせがしっかりできていれば、後工程での手戻りも少なくなり、運用後の成果にも直結します。ステップ6:ワイヤーフレームを作成する要件のすり合わせをもとに、具体的な構成へ落とし込んでいくのがワイヤーフレーム制作のフェーズです。ノックデザインではこの段階で、単にページの配置を整えるだけでなく、ファーストビューの導線設計や、ユーザーが欲しい情報へ最短で辿り着けるような構成を意識しています。また、SEOの視点も取り入れており、「ユーザーが本当に知りたい情報」に対して、どんなコンテンツをどの順序で見せるべきかを丁寧に設計します。これは検索エンジンへの評価にも直結する大事な考え方です。この段階で設計の方向性をしっかり固めておくことで、次のデザインフェーズがスムーズに進み、成果にもつながりやすくなります。ステップ7:デザインの方向性を決めるノックデザインではデザインの方向性は、2つの軸から考えることが多いです。1つ目は「ポジショニング(=市場での立ち位置)」の視点。 バーガーショップの例でよく説明しますが、外見(=デザイン)によって、価格帯やサービスレベル、価値の期待値は大きく変わります。 Webサイトでも同じで、「自社をどの位置でどう見せたいか」を明確にする必要があります。→安そう、早く出てきそう、さっと食べてさっと出るお店と想起される→高そう、サービスの質が良さそう、高級なサービスを受けれそうと想起されるそのためには、顧客の購入決定要因(KBF)を整理することが重要です。KBFとは、顧客が商品・サービスを選ぶときの判断基準のことです。たとえば価格なのか、納期なのか、サポート体制なのか。これらは業界やサービスによって異なるため、自社のKBFを明確にし、それが伝わる見せ方に落とし込む必要があります。参考:ポジショニングマップの作り方~肝となる軸の決め方をテンプレート付きで解説~ | メソッド | 才流2つ目は「パーソナリティ(企業のらしさ)」の視点。 松屋と吉野家とすき家が同じポジションにあっても、デザインは違って良いはずです。 ノックデザインでは、ユングのアーキタイプタイプ理論をベースに「ブランドの性格」を定義しています。アーキタイプとは、人間がもともと持っている普遍的なイメージを12種類のタイプに分類したもので、ブランディングやトーン設計に活用されています。たとえば「探求者」「支援者」「統治者」などのキャラクターに当てはめることで、デザインや言葉づかいの方向性が整理しやすくなります。参考:アーキタイプとは?ブランド構築のヒントになる12の型この2軸をもとに、ユーザーがWebサイトを見た瞬間に「なんとなく、こんな会社っぽい」と期待値を醸成することでミスマッチがしっかりと強みが伝わるデザインを目指します。ステップ8:デザインを実装する(CMS・更新設計も含む)実装フェーズでは、CMSやツールの選定によって進め方が大きく異なります。 多くの企業ではWordPressが主流ですが、最近ではSTUDIOのようなノーコードツールを使って、より早く・柔軟に実装するケースも増えています。このとき重要なのは「どこまで自社で更新できるようにするか」を明確にしておくこと。 CMSを導入する意味は、“運用を自走できるようにする”ことなので、毎回制作会社に頼まないと更新できないようでは意味がありません。そのためにも、運用マニュアルやレクチャーを提供してもらえる体制かどうか、どの範囲が更新可能か、事前に要件定義しておくことが大切です。ステップ9:公開前のチェックと公開後を見据えた準備公開前には、以下のようなポイントを必ず確認します。各ページの表示崩れがないか(PC・スマホ)フォーム動作やリンク切れがないかメタ情報(title・description)の記述は適切かOGPの設定はされているかHタグの構造に問題はないかGoogle Analytics/GTMのタグ設定がされているか特にGTMなどはタグが入っていないと正しく計測ができないため、必ず事前に確認する必要があります。また、リニューアル時にURL構造が変わる場合は、301リダイレクトの設定も必須です。 これを怠ると、旧URLの評価が引き継がれず、SEO評価が下がる原因になります。公開日は事前に時間を決め、チェックリストを用意したうえで、制作会社とリアルタイムで確認できる体制をとっておくと安心です。ステップ10:公開後の運用と改善の仕組みをつくるWebサイトは公開して終わりではなく、「公開してからどう活かすか」が成果に直結します。そのため、GoogleアナリティクスでPVやCVを継続的に計測してサイトを改善をしていくことが重要です。アクセスを増やすには、定期的なコンテンツ更新が必要不可欠です。特にブログや実績ページの更新は、SEOの評価を高める上でも重要です。もちろん、SEOだけでなく、SNS運用や広告運用も視野に入れておくべきです。何も打ち出さなければ、アクセスは基本的に増えません。SEO・SNS・広告のどれかには注力する必要があります。すでに営業活動での認知が一定ある企業であれば、リニューアルのみで成果が出るケースもありますが、そうでない企業は「届ける施策」を何かしら行わなければなりません。ノックデザインでは、SEOの支援も行っており、単発の制作ではなく、運用フェーズまで視野に入れた提案をしています。このように、サイトを作って終わりではなく伴走支援までしてくれる会社を選ぶことが重要です。リニューアルで後悔しないためのチェックポイント|依頼前に整理しておきたいことWeb制作は「やってみたら失敗だった」「思ってたのと違った」となりやすい領域です。リニューアルを進める前に、最低限以下の観点を整理しておくと、打ち合わせがスムーズに進み、成果にもつながりやすくなります。チェック項目内容ゴール・目的営業強化?採用?ブランド訴求?など「何のためのサイトか」を言語化できているか現状の課題「更新しにくい」「流入が少ない」など、自社が感じているモヤモヤを具体的に書き出せているか想定ページ構成会社概要、事業内容、実績、採用など、必要になりそうなページがざっくりイメージできているか公開希望時期いつまでに公開したいか、スケジュール感が明確になっているか予算感上限予算や希望金額帯が社内ですり合わせられているか参考サイトデザインや構成の参考にしたいサイトをピックアップしているか運用体制更新は誰が担当するのか、内製か外注か、体制が見えているか機能・CMS要件CMSで何を更新したいか、投稿機能・管理画面など必要な機能が明確になっているか制作会社への期待提案力・ヒアリング力・進行管理・集客支援など、何を求めるか優先順位がある程度整理できているか集客施策の方向性SEO・SNS・広告など、どのチャネルで集客していきたいか方向性が決まっているかこれらを“すべて完璧に決める必要はありません”。むしろ、ざっくりした状態でも相談することで、制作会社のヒアリング力や提案力を引き出せる場面も多くあります。ただし最低限「何を実現したいか」だけは言語化しておくと、目的のズレによる失敗を防ぎやすくなります。これらは「完璧に整理してから相談しないと…」と思う方も多いのですが、実際にはざっくりした状態で相談する方が、制作会社の提案力やヒアリング力が見えやすいという側面もあります。また、デザインが微妙な会社や、マーケティング視点のない会社に依頼すると、「なんとなく見栄えが良いけど成果にはつながらないサイト」ができてしまうリスクもあります。よくある失敗パターンとして、実績だけはよく見えても、外注デザイナー任せで設計が甘い担当者が要望をそのまま受け取るだけで、提案がないSEOや広告など集客視点の提案が一切ないといったケースがあるため、あえてざっくり渡して、“この会社がどう広げてくるか”を見て判断するのが有効です。コーポレートサイト制作でおすすめの会社5選実際に制作会社を探すと、数百社以上の候補が出てきて「どこに頼めばいいか分からない」という方も多いと思います。ここでは、目的や会社のフェーズに合わせて比較しやすいように、それぞれ異なる強みを持った実力派の制作会社を5社ピックアップしてご紹介します。それぞれの会社に「どんな方におすすめか」という視点を添えながら、選定時の参考にしてみてください。1. ノックデザイン(大阪)特徴:ノーコードツール「STUDIO」による費用を抑えたホームページ制作が特徴です。高いデザイン品質、SEOやコンテンツ設計も含めた一気通貫の支援が特徴です。こんな方におすすめ:コストは抑えつつ成果にこだわりたい、社内で運用できる体制を作りたいhttps://nock-design.com/2. LIG(東京)特徴:Web制作だけでなく、記事コンテンツや自社メディア運営の知見が豊富。リッチな表現も得意。こんな方におすすめ:予算がある程度確保できる方。情報発信型のサイトやブランディングに力を入れたい企業https://liginc.co.jp/3. SEVENDEX(東京)特徴:UI/UXの設計力に強み。大手・スタートアップ問わずサービス視点での提案が得意。こんな方におすすめ:アプリやデジタルプロダクトやシステムと連携したサイトを検討している場合https://sevendex.com/4. ニュートラルワークス(神奈川)特徴:ホームページの制作だけではなくSEOや、広告運用など幅広いマーケティング支援が得意。こんな方におすすめ:制作だけでなく広告運用やマーケティング支援もお願いしたい企業https://n-works.link/5. アコーダー(大阪)特徴:クオリティの高いデザイン制作が得意。Webだけに限らずブランディング領域からの支援ができる。こんな方におすすめ:会社全体の見せ方(ブランディング)から予算をかけて検討したい企業https://www.accorder.co.jp/まとめ|“作るだけ”で終わらせないために、まず考えるべきことコーポレートサイトのリニューアルで一番重要なのは、目的とゴールを明確にすることです。見た目の刷新だけでは、本質的な課題は解決されません。そしてもう一つ大切なのは、「発注して終わり」ではなく、ともに議論して伴走してくれるパートナーを選ぶこと。Webサイトは“作ること”がゴールではなく、“使い続けて成果を出す”ためのスタート地点にすぎません。ノックデザインでは、ゴール設計・情報設計・デザイン・実装・運用支援までを一貫して支援し、リニューアル後も継続的な成果創出にコミットしています。戦略と設計に時間をかけ、運用に耐えうる構造を整え、デザインで価値を引き出し、公開後も改善を繰り返す。私たちが大切にしているのは、「見える成果」と「信頼されるプロセス」です。“作って終わる”を、終わらせよう。そう感じた方は、ぜひ一度ノックデザインにご相談ください。